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インナーマッスルを鍛えれば姿勢は良くなる?仕組みとよくある誤解を解説


身体の基本(生理学・栄養学)

「インナーマッスルを鍛えれば姿勢が良くなる」——雑誌やSNSでよく見かける言葉ですが、実際に鍛えてみたものの、姿勢の変化を感じられなかったという声を、施術の現場でよく耳にします。

この記事では、柔道整復師として日々姿勢のご相談を受けている立場から、インナーマッスルと姿勢の関係について、よくある誤解を整理しながらお伝えします。

インナーマッスルとは?アウターマッスルとの違い

インナーマッスルとは、体の深い位置にある筋肉の総称です。

実は「インナーマッスル」という呼び方は、医学・解剖学上の正式な分類名ではなく、トレーニングや健康情報の分野で広く使われるようになった呼び方だと言われています。

体の表面近くにあり、目に見えやすい大きな筋肉(アウターマッスル)とは違い、外から触って確認することが難しく、意識的に動かす感覚もつかみにくい筋肉だとされています。

代表的なものに、お腹周りを取り囲む腹横筋や、背骨を支える多裂筋、骨盤の底にある骨盤底筋群、呼吸に関わる横隔膜などがあります。これらは単独で大きな力を発揮する筋肉というよりも、関節や背骨の位置を細かく調整しながら、体を支える役割の一部を担っていると考えられています。

姿勢を支える代表的なインナーマッスル

姿勢に特に関わりが深いとされる代表的な筋肉は、以下の4つです。

  • 腹横筋 ― お腹をコルセットのように囲み、体幹の内圧を保つ
  • 多裂筋 ― 背骨の一つ一つをつなぎ、背骨全体を安定させる
  • 骨盤底筋群 ― 骨盤の底を支え、体幹の土台となる
  • 横隔膜 ― 呼吸の主役でありながら、体幹の圧力を調整する役割も担う

これらは「インナーユニット」とまとめて呼ばれることがあり、姿勢や体幹の安定に関わる筋群として説明されることが多いです。

ただし、これらが常に一体となって働く単一のシステムというより、それぞれが姿勢の異なる場面で役割を果たしている、と捉えていただく方が実態に近いと考えられます。

インナーマッスルと姿勢の関係

良い姿勢というと、背筋をピンと伸ばした状態を思い浮かべがちですが、身体にとって重要なのは、一つの姿勢の形を長時間固定し続けることではないと考えられています。

座る・立つ・歩く・腕を動かすなど、状況に応じて姿勢を変えられること自体が、負担の少ない姿勢の条件のひとつだとも言われています。

インナーマッスルは、こうした姿勢の変化の中で、関節や背骨の位置を細かく調整する役割の一部を担っていると考えられています。ですが、姿勢は筋力だけでなく、関節の動きやすさ、感覚の使い方、疲労、日々の動作習慣など、さまざまな要素が関わって作られています。

そのため、「インナーマッスルが弱い=姿勢が悪くなる」という単純な図式で説明できるものではなく、体幹深部の筋群の働きは、姿勢に関わる一つの要素として捉えていただくのが実態に近いと考えられます。

「鍛えているのに姿勢が変わらない」と感じる理由

施術をしていると、「腹筋やプランクを続けているのに、姿勢が変わった実感がない」というご相談を受けることがあります。

姿勢を安定させる筋肉は、特定の筋肉だけを単独で鍛えればよいというものではなく、日常の動作や運動の中で、複数の筋肉が協調して働くことが重要だと考えられています。実際、スクワットや歩行のような大きな動きの中でも、体幹の深部にある筋肉は一緒に働いているとされています。

もう一つ考えられる理由は、トレーニングの時間だけ意識して身体を使えても、日常生活の姿勢の中では、以前からの身体の使い方に戻ってしまっているケースです。

姿勢は一日のうちのごく一部のトレーニング時間だけでなく、座り方や立ち方といった無意識の習慣の影響も大きく受けるため、「鍛える」ことと「日常の中で使える状態を保つ」ことは、分けて考える必要があると感じています。

では、どんなことを意識すればいいのか

特定の「インナーマッスルトレーニング」だけに絞り込む前に、まずは日常の身体の使い方全体を振り返っていただくことをおすすめしています。

呼吸を止めずに身体を動かすこと、長時間同じ姿勢を取り続けないこと、歩く・立つ・座るといった基本的な動作の中で身体を大きく使う機会を意識的に増やすことなどが、体幹の深部の筋肉を含めた身体全体の使い方につながっていくと考えられます。

特定のトレーニング種目を一つだけ行うよりも、日常動作の延長として無理なく続けられる範囲で身体を動かす習慣の方が、長い目で見ると姿勢に良い影響を持ちやすいと感じています。

日常の中で意識したいこと

まずは自分がどんな姿勢で座ったり立ったりしていることが多いかを振り返ってみることをおすすめします。

例えば、椅子に浅く座って背もたれに寄りかかる姿勢が長時間続くと、身体の一部の使い方に偏りが生じやすくなる可能性があると言われています。

呼吸を止めずに、お腹まわりに軽く力が入っている感覚を保ちながら座る、といった小さな意識の積み重ねが、身体を使いやすい状態に近づける一歩になると考えられます。

感じ方には個人差が大きい部分でもあるため、痛みや違和感がある場合は無理をせず、専門家に相談しながら進めていただくことをおすすめします。

まとめ

インナーマッスルは、姿勢に関わる要素のひとつではありますが、「鍛えれば姿勢が良くなる」と単純に言い切れるものではありません。

鍛えることそのものよりも、日常生活の中で身体をどう使えているかが、姿勢に大きく関わっていると考えられます。

次回は、インナーマッスルの働きだけでは説明しきれない「猫背」について、そのメカニズムを詳しく解説していきます。

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